前回の記事ではキャプテンスタッグ 薪ストーブの購入から(主にサーカスTC DXで使うための)煙突の延長についてお伝えしました。
今回はそこから一歩進んで、テント&キャンプで使用するために必要な準備とカスタマイズについてまとめます。
煙突ガードを用意する
煙突がテントに直接触れることを防ぐために、煙突ガードと呼ばれるものが必要となります。
薪を燃やすと本体や煙突は300度以上になり、テントに当たらずとも熱で溶けるばかりか、最悪炎上の可能性があります。「薪ストーブ テント 火事」「薪ストーブ テント 炎上」などで検索してみてください…。
ポリエステルやナイロン製のテントだと一発、燃えづらいというTC素材でも「燃えない」訳ではないので万全の対策が必要です。
他社製品の煙突ガードは合わない
そこで登場するのが煙突の周りを囲う煙突ガードです。
こちら、買うと5,000円以上することに加え、人気のG-Stoveやテンマクデザインからは純正の煙突ガードが出ているのですが、キャプテンスタッグの薪ストーブには純正のものが存在しません。
また、キャプテンスタッグの薪ストーブKAMADOは煙突の径がφ100mm。それに対して他社の煙突ガードは径が狭いものが多く、合いません。(正確に言うとφ120mmだったりで十分な間隔が取れません)
かくなる上は作るしかない!ということになります。
でも安心してください。傘立てから簡単に作ることができます!
こちらはamazonで販売している傘立て。
製造メーカーは「パール金属」です。
…うん?キャプテンスタッグは確かパール金属のブランドじゃなかったっけ?
完全にお誂え向きだし、ということは作れってこと?と解釈。
なお、こちらの傘立ては外径140mmです。
傘立てから煙突ガードを作る手順
用意するパーツは傘立てとボルト&ナットだけ
用意するのはこれらのパーツ。この工程で使うのは傘立てとボルト&ナットだけです。ステンレスのメッシュシートとステンレスワイヤーは別の作業で使います。
まず煙突ガードとなる傘立て。最寄りもホームセンター、コーナンで598円でした。たぶん、上記で紹介している傘立てと同じもののカラー違いではないかと思います。
そして煙突本体を押さえるためのボルト&ナット。
こちらはできるだけ太いものが押さえるためには良いかなと思い、M12という規格にしています。
細すぎると煙突の自重に負けて、押さえきれずに煙突が落ちてしまうんじゃないかと危惧しました。
傘立ての底面を外す
いよいよ加工に入ります。
まずは、傘立ての底面のパーツを外します。
こちらですが、僕は電動カッターのような専門工具は持っていませんので、マイナスドライバーで外しました。
全面が溶接されている訳ではなく、3箇所くらいが留まっているだけですので、隙間からマイナスドライバーを入れ、テコの原理でこじ開けていけばご覧のように外れます。意外に簡単にできます。
この傘立ては脚になる部分が付いてますので、これをそのまま活かして後々ロープ固定用にも使えます。
ボルト&ナットを装着
続いて、傘立てのメッシュ部分をニッパーでカットして、ボルトを通す穴を開けます。
僕は上部と下部に3箇所ずつ、計6箇所で留める形にしました。
このとき、接触面がなるべく大きくなるようにボルトの頭が煙突側に来るようにしています。
完成形としてはこのような形です。
しっかり締められて留まっているのと、傘立ては長くカバーできるのでテントの隙間を通すときも安心ですし、この長さでスパッタシートを巻くので(後述)煙突の熱効率も上がるんじゃないかと期待しています。
ステンレスメッシュで簡易スパークアレスターに改良
続いて、煙突の最上部に一工夫加えます。
キャプテンスタッグの薪ストーブは下記写真のように煙を逃がす穴が大きく、このままだと燃えカスが火の粉になって外に放出されてしまいそうな懸念があります。
先輩キャンパーの話を聞くと、煙突や本体がテントに触れて溶けたり燃えてしまうことと同時に、煙突からの火の粉によってテント上部に穴が開くことを防ぐ必要があります。
やはりG-Stoveなど有名どころでは「スパークアレスター」として火の粉や火花が飛ぶのを防ぐ純正のものが売っていますが、キャプテンスタッグにはありません。
そこで、燃やす薪を油分が多い針葉樹ではなく広葉樹にしたり、煙突内に煤が溜まらないように掃除をしたりと基本に忠実であるのとあわせ、この煙突トップの大きな穴をステンレスメッシュで内側からカバーして簡易スパークアレスターとして改良します。
ステンレスメッシュはホームセンターで購入。498円でした。
ステンレスメッシュを煙突トップの内側に入れればくるっと勝手に回りますので、簡単にできます。
このままでも大丈夫かなと思うのですが、100円ショップでも売っているステンレス線で縫うようにしてあげれば固定されます。
これで煙突トップの改良が終わりました。
なお、キャプテンスタッグの煙突トップは上部が閉じられていて側面の穴から煙を放出するタイプです。雨が降ったりしても煙突内に水が入ることは少ないかな、と思っています。
2つ割りを使って煙突固定用のロープ通しを作成
次に風で煙突が倒れることを防ぐために、地上と固定するロープを通すパーツを付けます。
ステンレス線をぐるぐる巻いてリングやカラビナを付ける方法もありますが、僕は「煙突用二つ割り」という部品を使って取り付けました。
この煙突用二つ割りは円形に湾曲している金具2つをビスで留めるもので、支柱となるパーツが付いているものもあります。街なかにある煙突やダクトを見てみると、この支柱を壁面に固定しているケースが多く見られます。
こちらもホームセンターで売っており、398円でした。
僕が購入した二つ割りは径が106mm~110mmに対応するもので、キャプテンスタッグの煙突が100mmなので合わないのですが、これしか無かったのと、煙突との間にナットを挟んでステンレス線で固定すれば大丈夫だろうと思いました。
実際に取り付けてみた姿がこちらです。
煙突上部に取り付けて、2つを繋ぐボルトにカラビナを掛けていて、がっちり固定されています。
煙突にサーモバンテージを巻き断熱
煙突の改良は続きます。
続いて、バイクや車のマフラーなど高温な部分に巻き付けて放熱を抑制する「耐熱バンテージ」を煙突に巻きます。
サーモバンテージと呼ばれるこちらのものはグラスファイバーやシリカファイバー、高いものではチタニウムなどの素材で作られており、耐熱温度が800℃~1600℃あり放射熱を抑えます。
amazonや楽天などでもたくさんの種類が売られているのですが、僕はこちらを購入しました。
煙突が黒なのでサーモバンテージも黒を選択。価格が990円でビニール手袋やステンレスの結束バンドがセットになっているお得なパッケージです。
この価格なら、劣化したら買い直してメンテナンスすればいいかなと考えています。
セット内容:バンテージ + ステンレス製 結束バンド30cm(4本)+20cm(4本)
サイズ(バンテージ):長さ約5m × 幅 約5cm
耐熱温度800度
サーモバンテージを巻く手順
サーモバンテージは鉱物やガラス繊維で作られているので、素手で触ると極小の破片が刺さりチクチクします。
そのためビニール手袋をして巻いていきます。
まず、水につけます。霧吹きでも良いとのことですが、結構力を入れてきつく巻いていくのでバケツにドボン。
サーモバンテージが水を吸ったら煙突に巻いていきます。
購入したものは幅5cm×長さ5m。これでどれくらい巻けるかというと、φ100mm×長さ350mm(ジョイント部分を除いて)のキャプテンスタッグ煙突でこちらの感じです。1本+三分の一くらいでしょうか。
巻き終わったら付属のステンレス結束バンドで両端を留め、さらにステンレス線で補強留めして完成です。
地面に敷くスパッタシートを煙突ガードに巻く
最後に、傘立てから自作した煙突ガードにスパッタシートを巻いてさらに断熱します。
スパッタシートは焚き火台の下に敷いて地面の燃焼を防ぐ耐火性・耐熱性・断熱性を備えた不燃シートです。
こちらも色を黒系で揃えたいと思い、桃ゴム加工のスパッタシートを手配。
黒系はこちらしか目ぼしいものが無かったことに加えて、特殊アクリル繊維を高温処理した炭化繊維なので触れてもチクチクしないことが優位点です。
テント上部で使うものなので使用中に子どもが触れることは無いのですが、設営時や運搬の際に子どもが触って繊維が刺さるのを防ぎたい思いがありました。
☆溶接時のノロ・火花に対して、優れた耐火性・耐熱性・断熱性を保持します。
☆軽くて、扱いやすく、ガラス繊維のように、チクチクしません。
☆特殊アクリル繊維を高温処理した炭化繊維。
購入したものは1m×50cmのもので、傘立て煙突ガードに試しに巻いたところ2重に巻けました。
煙突自身にサーモバンテージも巻いているので、おそらくオーバースペックかなと思っていますが、一旦このまま使ってみて状態を見てみようと思います。
もしテントを守る煙突ガード部分が事足りるのであれば、切っちゃって、低い位置に来る煙突をガードすると子どもにとっては安全度が上がるかなぁ?
煙突自体からの熱で温まるものだから、効果は薄まっちゃうけどね。
だけど前述の「チクチクしない」という特性を活かせるから、様子を見てだね~
地面への断熱・遮熱も忘れずに
これは煙突への加工ではありませんが、薪を燃やす本体は当然最も熱くなり、地面に対しても熱を放出します。
これを忘れると芝を燃やしてしまったりダメージを与えてしまうので、地面側へのケアも必要です。
特に背が低い薪ストーブは熱量が大きくなりますので注意してください。
レンガやスチール製のラックなどで土台を作って地面から離したり、メーカーによっては販売されている延長の脚を付けたりしますが、ぐらつかないように水平を取るのが大事です。
そこで、一番手軽なのが焚き火台でも使うスパッタシートを敷くことだと思います。
キャプテンスタッグの薪ストーブの場合、ローとハイで高さが変えられて、ハイスタイルでは地面からの高さが約50cmとなります。
これに、焚き火台用のスパッタシートを敷いてケアします。
一酸化炭素警報機を忘れずに
最後に、一酸化炭素チェッカーを必ず用意します。
テント内で薪ストーブはもとより石油ストーブ、ガスストーブ、ファンヒーターや七輪を使って不完全燃焼が起こると、一酸化炭素が発生します。
熱や炎による火災の危険性もさることながら、睡眠中に発生すると気付くことなくそのまま一酸化炭素中毒になって亡くなってしまうケースもあるため、テントメーカーは幕内での火気使用を禁止しています。
そのため、冬のキャンプでテント内で火気を使用する場合は、当然自己責任で行う必要がありますし、リスクや対策について十分理解しておく必要があります。
一酸化炭素中毒のリスク・危険性については正確に知っておくべきですので、下記を参照してください。
一酸化炭素(CO)は無味無臭の気体で極めて毒性が強く、空気中における濃度が0.02%(200ppm)に上昇すると頭痛などが起こり、さらに、濃度が上がると吐き気、めまいなどの中毒症状が進み、最悪の場合、死に至るなど身体に大きな影響を与える物質です。
東京都福祉保健局
この無味無臭の気体である一酸化炭素を検出し、空気中濃度が高くなったときにアラートを鳴らすのが一酸化炭素チェッカーで、テント内で暖房の手段を取る冬キャンプには必需品となります。
こまめな換気を心がけ、夜寝るときには火を完全に落とすなどの対策を取っていても自分では気付けず、自覚症状が出てからでは遅いので必ず準備してください。
どれを選ぶべきか
自分や家族の生命を守るものなので、判断が難しいところですが日本製・海外製で価格もピンきりです。
日本製のものが安心だとは思いますが、1万円以上するので悩ましいところ。各社通販では中国製のものが多く販売されており、こちらは2,000円程度で購入できます。
安価なものがしっかり作動するのか、性能上問題がないのかはYoutubeで検証されている方も多く、そちらを参考にしてもらうのが分かりやすいです。
但し、その値が正確なのかは専門機関でないので皆さん分かりませんので、「どのレベルで作動するか」を知る目的でご覧になってください。
個人的な価値観としては、敏感過ぎたとしても検出の反応が鈍かったりするよりはいいかな、と思います。
以上、薪ストーブを使うための準備、改良・カスタマイズでした。
本来の使い方である屋外・テント外ではなくテントにインストールするためには色々と手間が掛かりますが、テントが燃えたり一酸化炭素中毒になっては元も子もありません。
念には念を入れるべきものだと思いますし、この準備も「あーでもない、こーでもない」と考えながら試行錯誤できるのでキャンプの一つの楽しみ方だと思います。
火入れをした様子はまたレポートします!
コメント
煙突バンデージで火災事故が起きました。
むしろ危険ですよ。
マジですか!?
幕に触れているところが熱を持ちすぎてでしょうか…。
僕もナイロン生地では怖くてできず、TC生地でのみにしています。
いずれにしても十分以上に気を付けないといけないですね。
コメントありがとうございます!