前回ご紹介したOgawaの新作テント、ステイシーファルダに続いて今回は変わり種の2つをご紹介します。
独創的過ぎるシャンティRと、「なるほど~」と思わせたピレウス。
どちらも見たことがないシルエットで目を引くのとあわせ、実は機能的なテントです。
Pileus|ピレウス
いわゆるティピー型のテントはまさに「キャンプ!」という感じで雰囲気抜群。
目を引くシルエットなのですが…
ふつうはこのようにセンターにポールが来ます。
センターポールのテントは設営も簡単でシルエットもサマになるので好きなのですが、分かっていてもこのセンターポールが邪魔になることがままあります。
レイアウトを難しくすることもありますし、家族で使おうとした場合はそれが顕著に現れます。
でも形がカッコいいから好きなんだよなァ・・・
分かる。設営・撤収も本当に楽だしなぁ…。
という会話が聞こえてきます。
個性派!クロスポールでピレウスにはセンターポールが無い
そんな声を聞いてか聞かずか、センターポールではなく外部のクロスポールを使った個性派の新作テントがピレウスです。
前面を広く開放し背面が下がる姿は、どことなくサバティカルのモーニンググローリーのシルエットを連想させます。
ただ、そのスペックはまったく異なります。
まず、最大の特徴はセンターポールが無いということ。
このおかげで幕内は広く快適に過ごすことができます。
インナーテントのサイズは340cm×280cm。大人5人が横になって余りあるサイズ感で、センターポールが無いためレイアウトの自由さが格段に上がっています。
アウタークロスポール
テントの特徴にもなっているアウターのクロスポール。
連結部分から二股に開く形で、中央からのリングにフライシートをフックを引っ掛けて吊るします。
そしてトグルを掛け、フロントポールで入り口を作った後ガイロープでテンションを張って完成、と手順も意外とシンプル。
そう、このテント、クロスポールとフロントポールの2本のみで立っています。
この構造には驚きました。
なお、このクロスポールでフライシートは自立する(吊り下げられる)ので、インナーを取り外してシェルター的に使うこともできます。
フライ・インナーともにTC生地
そしてこちらのピレウス、フライシートとインナーテントともにTC生地となっています。
雨に当たった時のことを思うと不安になりますが(何せインナーとフライだけで10kgを超えます)、晴れた時の快適さは抜群でしょう。
インナーテントの底面はポリエステル210dの生地ですが、これも取り外しが可能。
さらに、背面の開閉部分にはトリプルファスナーが採用されているので、薪ストーブをインストールしてもいいよ、と暗に提案されている気がしてなりません。
個性的なシルエットに目が行きがちですが、実は工夫次第でさまざまなバリエーションでの使い方ができる応用性の高いテントです。
スペック
価格 | 145,200円(税込み) |
重量 | 約17.56kg(付属品除く) フライ:約5.05kg、インナー:約5.25kg、グランドシート:約1.22kg ポール:約6.04kg、付属品:約3.3kg |
素材 | フライ:T/C(耐水圧350mm)、インナー:T/C グランドシート:ポリエステル210d(耐水圧1,800mm) メインポール:6061アルミ合金(φ32mm) フロントポール:スチール(φ22mm) |
収納サイズ | 70x34x32cm |
付属品 | 張り綱2mx6本、3mx2本、セルフスタンディングテープ、スチールピン25cmx17本、アイアンハンマー1丁、収納袋 |
Shanty R|シャンティ R
続いては「これはどうなっているんだ??」と思わず笑ってしまったシャンティR。
前面のフラップが思いっきり広がる、タープいらずのオールインワンテントです。
どこまで開くのか、変幻自在の前面フラップ
こちらの写真だけではどうなっているのか分からないかもしれませんが(笑)、前面のフラップが折り畳まれていて、開くとタープが一体化した形で広いスペースをつくることができます。
これだけ大きいと前を下げて目隠し的にも作れますし、屋根型にしたり、左右を上げ下げした形にもできます。
カタログで見ていた時には昨年発売のヴィガス2のような感じかな?と思っていたのですが、そのイメージを大きく超える代物でした。
前面が大きく高いところは似ていますがフラップの大きさがぜんぜん違うのと、後面のフォルムも後ろに倒れていて個人的には今どきなデザインになったなと思いました。
そしてこのテント、よく見てもらうと外側にポールを回すタイプで、3本で立つ構造になっています。
つまりは設営・撤収が楽ということで、さらにサイドの大型メッシュやインナーテント側のベンチレーションなど、非常に機能性を考えられたテントとなっています。
これだけ広ければ確かにタープはいらない
長い距離移動してきて、テントを設営して、テーブルなどを出して…となるとタープを張るのが面倒な時ありませんか?僕は正直結構あります(汗)。
そんなものぐさなキャンパーや、ビギナーでテントとタープを両方買うのに躊躇する方、さらにはシンプルに一つで済ませたいというベテランの方。
張り姿のインパクトから「これどうなの?」と最初は思いますがこのシャンティR、実は色々なニーズに応えられるテントなのかもしれないと実物に触れて思い直しました。
なお、近いコンセプトで作られたであろうヴィガス2も大きな前室部分が作れますが、ここまでではありません。また、価格も97,900円(税抜き)となっています。
シャンティRは税込み110,000円。これだけ広くスペースが作れて、かつ価格も1万円強しか変わらないとなると、シャンティを選ぶ方が得かなぁと思います。デザインの好みはあると思いますが(苦笑)
スペック
価格 | 110,000円(税込み) |
重量 | 約8.24kg(付属品除く) フライ:約3.77kg、インナー:約2.1kg ポール:約2.37kg、付属品:約5.56kg(張り出しポール含む) |
素材 | フライ:ポリエステル75d(耐水圧1,800mm) インナーテント:ポリエステル68d グランドシート:ポリエステル210d(耐水圧1,800mm) ポール:6061アルミ合金(φ14.5mm)+7001アルミ合金(φ13.8mm) |
収納サイズ | 68x28x28xcm |
付属品 | 210cmスチールポール(φ19mm)x2本 張り綱 1.5m×6本、2.5m×4本、3.5m×2本 スチールピン25cmx22本、アイアンハンマー1丁、収納袋 |
今回ご紹介した2つのテントもそうですが、昨年発売されたクーポラも特徴的なシルエットで独特の存在感を放っていました。
このような一風変わった面白いテントを設計・発売できるOgawaに、かつて無かった新しい風をものすごく感じます。いいデザイナーが加わったのかな?と思わせます。
良くも悪くも質実剛健で地味な印象だったOgawaのブランドイメージが変わっていくはざまに立ち会っているのかもしませんし、品質が折り紙付きのブランドが冒険するということにメーカーとしての強さを感じます。
個人的にはこういう姿勢が新たなニーズを喚起して、マーケットを切り拓いていくと思いますので引き続き応援し続けたいと思います。