【まとめ】テントの選び方・スペックの見方

【まとめ】テントの選び方とスペックの見方

先日、幸運にも人気沸騰につき激戦のサバティカル アルニカの抽選に当選し、またテントが増えました(苦笑)。
「いったい幾つ買う気?」という妻の逆鱗を何とかかわしつつ、実はソロ用にしっかり目のテントを買いたいと思っていることは内緒です。

さて、そんなテント選び、特にこれからキャンプを始めようとする方や初心者の方は、自分がそうだったように「何をどう選べば良いの?」というところだと思いますので、まとめてみます。

まずは人数と用途から

まずはどのような人数構成で、どんな利用シーンとするのかから。

人数

当然ながらソロとファミリーでは中に入るべき人数が違うのでテントの大きさも違います。
テントには様々な形状のものが各社から発売されていますが、まず気にするのは人数です。

快適に過ごすことを考えるとメーカーが言う収容人数からマイナス1(6人用と言っていたら5人、4人用だったら3人)で考えます。

用途

次にどんなキャンプシーンとしたいか、具体的には寝るだけなのか、幕内で食事したり過ごしたりするのか。
寝るだけならコンパクトなもので足りますが、幕内で過ごすことを考えると2ルームやシェルター型を選びます。

寝室+少しの前室のみのテントだと、食事したり日中過ごすスペースを作るためにテントと別にタープが必要になります。特に夏場、炎天下の下ではタープが無いと熱中症の危険もあります。
2ルームは寝室とリビングスペースの両方を備えたテントで、シェルターは文字通り大きな囲いで雨風や日差しを遮ります。どちらもサイズが大きくなるので運搬がクルマ前提になったりしますが、子どもがいるファミリーやタープ無しでゆったり過ごしたいデュオの場合は選択肢となってきます。

三角型のティピーテントはいかにもキャンプという感じで良いですが、1本のポールを真ん中に立てて支える形なのでレイアウトに工夫が必要でもあり、ファミリーの場合は最初は避けた方が無難かと思います。

また、キャンプに行くシーズンも考慮して素材・スペックを選ぶ必要があります。
梅雨時など雨が多いシーズンは耐水性があるもの、夏は湿気や暑さを緩和できる通気性があるもの、初心者にはお勧めできませんが冬に行くのであれば暖房を使うことを前提にすることやスカートと呼ばれる地面との接地面があるかどうかで冷気の入り方が全然違います。

テント素材については後述します

設営の簡単さ

特に慣れないうちは、設営に時間がかかります。
キャンプ場でなかなかテントが立てられず、険悪なムードになる家族を見ることもしばしば…。

できるだけ簡単に設営できるテントを選ぶことや、設営講習をやってくれるところがベストですし、キャンプ場に行く前に試し張りとして事前練習をしておくのがとっっっっても大事です。

アルペンアウトドアーズやOgawaやスノーピークなど直営店舗を持つメーカーであれば、事前申し込みしておけばショップで実際にテントを立てさせてくれます。(繁忙期などは不可の場合もあるのでお店に要問い合わせです)
スタッフの方に教えてもらいながら一緒に練習できるので、ぜひ活用してみてください。

価格

大事なポイント。性能が値段に比例するところがありますが、経験値が浅いうちは有名メーカーのテントが無難でないかと思います。

故障・不調が出たときに修理やメンテナンスの体制がしっかり整っていることや、品質で経験値をカバーすることができるのは大きいです。

最初にあまりにも高額のものに手を出すのは引き返せなくなる(自身の体験談です)のでおすすめしませんが、有名メーカーのものであれば下取りに出せる、ということもあります。

ここはお財布と家族に相談です…

注意点としては、特に冬は寒さという過酷な環境の中となり生命にも関わるので、準備する装備・ギア、それからテントの性能が絶対的に必要となります。
したがって、経験値を上げてからの方が無難ですし、Amazonなどで安いテントを買って行くのは余程慣れていないと無謀とも言えるので初心者のうちは避けてください。

テントの生地素材の違い

次にテントの素材、生地の違いについてです。
テント素材としてはポリエステル、ナイロン、コットン、ポリコットン(TC)が主に使われており、選ぶにあたっては運搬における軽さ、雨天時の対応、焚き火をテント近くでやりたいか、あとはコストがポイントとなります。

キャンプは自然を相手にするので、突然雨に降られることを念頭に置きましょう

ポリエステル

最もスタンダードな素材です。あえて他の素材を選ぼうとしない限りはポリエステルになるはずです。

コスト・軽量・強度のバランスに優れており、もともと吸水性が低いところにだいたいのケースでポリウレタンなどをコーティング加工(PU加工)して防水・耐水性を持たせているので雨天耐性が高い素材です。

アルニカ 75Dポリエステルタフタ

ナイロン

ポリエステルよりさらに軽く、ウルトラライト(UL)などで登山用だったり軽量さを追求する場合に使われます。コストはポリエステルよりは高くなります。

ナイロンテントの代表格 ムラコ source : muraco

コットン

綿で、衣服にもよく使われているので馴染みが深いと思います。

化学繊維には無いナチュラルさ、結露のしにくさ、燃えにくさなどの特徴がありますが、コットンは水分を吸収して膨張し生地密度を上げ、結果的に雨を防ぐ仕組みです。
そのためあまりにも長時間雨にさらされると生地が溜め込める量の限界が来て雨漏りに繋がります。(通常の雨程度であれば問題ないですが、一晩中降り続ける大雨のような場合は避けたほうが無難)

そして、濡れると水分を吸収=生地自体が非常に重くなることと、乾きにくく、ちゃんと乾かさないとカビに繋がってしまうので扱いに留意する必要があります。

ポリコットン(TC)

コットンのデメリットを解消するべくポリエステルとコットンの良いとこ取りをした素材がポリコットン。テクニカルコットンとも呼ばれTC素材と表記されることも多いです。

コットンのような手触りでポリエステルのようなビニール感が無く厚みがあることや、コットンよりも軽量でありつつ燃え広がりにくいので近くで焚き火をしても安心だったりするのがメリットです。
但しポリエステルやナイロンほど雨に強いという訳ではありませんし、濡れた場合にちゃんと乾かさないといけないのはコットン同様です。

ポリコットン(TC)

フライ(外幕)とインナー(寝室)の組み合わせ

「テント」と一口に言っても様々な形状があり、シェルター型やティピー型、パップテント(軍幕)の場合は寝室となるインナーテントが付属していないこともよくあります。

これは過ごし方の用途が様々に広がっていることの表れでもあるのですが、インナーテントは別に用意する(あるいは既に持っているものを使う)ことを見越してフライ(外幕)だけで販売されているケースです。
そのため、初めてのテントであれば「インナーテントが付属しているか」はチェックポイントの一つです。

雨風を防ぐフライはポリエステル、その内側に張るので濡れることは気にせず結露を防ぐためにインナーはコットン/TC、という合理的な組み合わせも可能で、このパターンで販売されているテントも存在しています。

我が家のメイン、Ogawa ティエラ5-EX2がまさにこのパターンです。

ティエラ5-EX2はフライは210Dポリエステル、インナーはTC素材

生地の強さ・厚みの違い

生地としてのクオリティは、糸の太さ・重さで表されます。
“210D”のように表記されるもので、Dは「デニール」。糸を9000メートルに伸ばしたときの重さが1グラム=1デニールとなります。
つまり210Dであれば210グラム。75Dであれば75グラムなので、数字が大きくなればなるほど生地が厚く強度が高いということになります。(その分重くもなり、価格が高くもなります)

また、デニール以外に表面に施す加工も影響します。
前述のポリウレタンコーティング(PU加工)シリコンコーティングなどで強度・防水性を高めるのも一般的で、ポリエステルやナイロンはこのコーティング加工ができることがメリットの一つでもあります。

PU加工は加水分解(ポリエステルを濡れたまま放っておくとベタベタになる現象です)が宿命的に付いて来るので、できるだけ早くしっかり乾かしたり、摩擦をできるだけ避ける必要があります。
シリコンコーティングはシリコンを繊維に染み込ませるのでより防水性・強度ともに高くなりますが、コストは高くなります。また、加水分解はします。

生地の織り方の違い

これはあまり気にしなくても問題ありませんが、主にタフタオックスフォードが用いられます。

タフタは糸を縦横交互にした平織りで、数字が大きいほど密度の高い生地となります。
オックスフォードは縦横2本ずつ交互に交差させており、タフタよりも引き裂き強度があり耐久性に優れているので、ルーフ(天井)やフロア部分に使われることが多いです。

生地のスペックを見ていて、「タフタ」とか「オックスフォード」って何?と思うかもしれませんが、オックスフォードの方が強い、とだけ認識しておけばOKと思います

遮光性・換気性能

夏場、照りつける日差しの中過ごすうえで遮光性と換気性能は重要なポイントとなります。
生地・色ともに薄い場合は当然日光を遮る性能が弱いので、幕内は暑くなります。
生地が薄くても色が濃ければその分遮光性は高くなります。

僕が持っているテンマクデザインのサーカスTC DX HUNTERは別注モデルで通常モデルより色味が濃いので、夏場の日中でも幕内は暗いほどです。また生地自体もTC素材で厚いので、熱は遮断してくれて、夏は涼しく冬は温かく過ごせます。

サーカスTC DX HUNTER

また風を通すための換気性能もポイントです。
夏場は幕内を風が吹き抜けるように前後左右がメッシュ地になっていると快適ですし、虫の侵入も防げます。
推奨はされませんが冬場に幕内でストーブなどの火器を使う場合、換気は絶対に必要となります。

そのため、メッシュ地となる部分や換気孔となるベンチレーションがどれくらいあるかは快適に過ごすための重要なポイントです。

耐水圧

耐水圧1,500mmや3,000mmなどと示されるもので、文字通りどれくらいの水圧に耐えられるかを表します。
耐水圧1,500mmは生地に1平方センチメートルの筒を立て、その中に水を入れていき1,500mm=1.5メートルの高さまで耐えられる(染み出さない)ということ。

高ければそれだけ水=雨に強いということになりますが、反面通気性が悪かったり、結露しやすいというデメリットとトレードオフになります。

突然の雨にも耐えられるように、ある程度の耐水圧は備えておいた方が安心ですが、高すぎると通気性が悪いため夏場辛いし結露もしやすい=カビの原因になる…。
難しいところですが、主要メーカーでは1500㎜~2000㎜あたりが主流でバランスを考えており、ここが一つの基準になるかと思います。

日本ほど雨が多くない海外メーカーの耐水圧500mmなどのテントは、雨が降っていたり予測される場合は避けた方が無難です。

最も注意すべきは…

雨や季節など、利用するシーンでの選択ポイントを挙げてきましたが、キャンプにおいて最も注意・警戒すべきこと、それはです。

雨や日差しは避けられても、風ばかりは影響をモロに受けます。
ポールとフライでテントを立てたあと、ガイロープという張り綱を張って強度を高めますが、あまりにも風が強いと地面に固定したペグごと飛んでいったり、そもそもテントが風に煽られて立てられなかったりします。

実際にキャンプの聖地、ふもとっぱらで6mの風の中、設営に苦労したのと100メートルくらい先でテントがひっくり返っていたり、タープが飛ばされたりしているのを目撃しました…

初心者のうちは風が強いときは避けるのが無難です。

まとめ

このように、生地素材・デニール・加工・織り方・耐水圧でテントのスペックが決まってくるのですが、まずはご自身がどんなシーンでの使用を想定するかで2ルーム、シェルター、ソロ用などの種類を決め、それからスペックを気にする順番です。

まずは汎用性の高いポリエステルで始めて、さらにということになれば、他の素材や形状のテントを検討するのが基本です。
自分や家族を守る唯一のものでもあるので、最初のうちはあまり奇をてらわず、よく分からないメーカーの安いものに手を出さず、かといってオーバースペック過ぎず、というバランスを取ると良いかなと思います。

そして一通りキャンプを経験すると、ギアや装備同様に

  • 違うスタイルを試したい(テントが違えばその中での過ごし方も変わります)
  • 冬シーズンにもキャンプをしたい(冬だけは他の装備もさることながら、テント自体にスカートが必要、幕内でストーブを使う上で十分な通気が必要など条件が出てきます)
  • 人と違うテントがいい(これが一番大きいかも 笑)

という欲求が必ず出てくると思いますが(自分の経験談)、テントはキャンプ道具の中でもサイズも出費も大きなものになるので、できる限り「実物を見る」ことをおすすめします。

この記事がこれからテントを選ぶ方の参考になれば幸いです。


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